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水流花
11月9日読了時間: 6分
小話「最後の思い出に、魅了魔法をかけました」
(2025/11. コミカライズ記念に小話をあげておきます。プロットの協力させて頂いていた時に書いたものですが、コミック版はフェリクス様の特殊能力には言及していません) 【フェリクスの葛藤】 幼い頃、俺の容姿は氷細工のように美しいのだと、皆が言った。 「フェリクス様のお美しいこと」 「まるで絵画に描かれた神の使者のよう」 人々は俺を見つけると、はっとしたように硬直し俺を見つめ続けることがある。何かが心の深いところに響いているかのように、目が離せなくなるのだそうだ。そうして、そうした人々の中には、その後崇拝するような瞳で俺を見つめるものもいる。 意味が分からない。なぜなら美しいものなどありふれているのだから。 王宮は美しい。所蔵されている美術品も素晴らしい。何より、意向を凝らした庭園は美しい。けれど人の生み出すものだけじゃない。駆け抜けていく風は心を清らかにし、晴れ渡った空は、青く、澄み渡り……ただそこにある。この世の神秘が生み出すもの以上に美しいものを、生きた人間の中に感じることなど……俺には分からない。 「それに比べて、みすぼらしいあの
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